アネモネ 子どもが見てはいけない童話

Anemone: A Fairy Tale for No Kids
2021年/韓国語、英語/韓国 /77分/ワールドプレミア
解説
起こっていないことはあえて考えるなと教わった。それでも起こっていないことを考えてみたら、世の中に起こらないことなどないということに気づいた。そうやって私たちは、いつ何が起こるか分からない不埒で頭の痛くなるような世の中を危うく生きている。
あらすじ
ヨンジャは一人の子どもの母親で、独力で生計を支えるたくましく強靭な女だ。尋常でない夢を見たある週末の朝、ヨンジャは失業中の夫に数字を書いたロトくじの用紙を渡し、買っておくようにと繰り返し頼んで職場に向かった。問題はその夜に起きた。遅くまでつらい肉体労働をしたヨンジャは、夫に頼んだロトの番号が当たるという奇跡のような事実をリアルタイムで知り、ただちに家に走るが…。
監督
チョン・ハヨン
1978年ソウル生まれ。「鬼神」(2021年)が第24回プチョン国際ファンタスティック映画祭のコンペティション部門で上映。
スタッフ&キャスト
監督/脚本 | チョン・ハヨン |
---|---|
プロデューサー | オム・ヒョンスク、クォン・ハナ |
出演 | チョン・イラン、パク・ソンジン、他 |
スタッフ | ナムグン・サンヒョン(照明)、キム・ジンヒョン(撮影)、オ・ビョンテク(サウンド)、ホン・ジンギュ(編集) |
© Cinema Paradise
上映スケジュール GP受賞により期間延長 -8/8 mon 23:59
プログラミング・ディレクター塩田時敏コメント
“キツい、ケバい、カッコいい (場合によってはカワイい) ” 。この3Kが、かつて他の国とは異なる、韓国映画の魅力的なヒロイン像の特徴だった (少なくとも僕の中では)。しかし、それは映画だから。現実は違って当たり前。この童話 (映画)こそ、現実社会を強烈に戯画化した漫画 (映画)だろうか。“キツい、キモい 、キビしー” 3K。オープニングアニメ『裏切りの花 アネモネ』が楽しい。
Director’s Voice
1.映画制作をはじめたきっかけは?
英国の有名登山家が登頂前に、なぜエベレスト登頂を決意したのかと質問され、こう答えました。 「そこに山があるからだ」と。私もそうでした。私にとって映画は山であり、そこに映画があるから、知らないうちに映画を撮っていたようです。
2.影響を受けた作品や監督は?
トーマス・ヤーン監督「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」(1997)。重く暗いテーマを明るく明快に扱っているのが好きです。映画だからこそ可能なのでしょう。
3.本作の制作動機、インスピレーションは何でしたか?
ある日、1等の当選が多く出ることで有名なロトくじ販売店で長い列に並んでいたところ、前にいた若い夫婦が1等当選の夢を話していました。とても幸せそうに見えました。微笑ましくその後ろ姿を見ていると、突然、不純な想像がパノラマのように広がり始めました。いくらやめようと努力しても。
4.本作ではどんな困難に直面し、それをどう乗り越えましたか?
限られた製作費と時間が最も困難な点でした。低予算映画の監督は誰でもそうだと思いますが。そうして、苦労は俳優とスタッフにそっくり押し付けてしまいます。刑務所に行かない罪を犯している気分です。いつか無限の予算、無限の時間を持って映画を作る日を夢見て、祈る気持ちで克服しました。
5.本映画祭への応募動機と選出された心境は?
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭は全世界のジャンル映画人にとって夢の舞台です。夕張という小さな町で開かれる映画祭にもかかわらず、全世界の映画人に大きなインスピレーションを与えています。私もいつかは全世界の映画ファンに大きな影響を与える監督になろうと思います。招待していただいたことに、改めて深く感謝を申し上げます。
6.ご覧になる皆さんへメッセージを
人間が純度99.9%の真心をこめて他人に心を伝える日は、一生のうちで何度あるでしょうか。愛しています。ありがとうございます。